RUN for UTMB®︎あるいは僕の、走ることについて語るときに僕の語ること。

2018年UTMB®リタイアからはじまる50代トレイルランナーの挑戦記。

2月10日(日)3週間ぶりに練習再開

 2/10-11は2連休。香港以来実に3週間ぶりの「運動」として、西六甲縦走路を「歩く」ことにした。思えばウルトラトレイルレースでは、ほぼ上りでは歩き通しているので、歩くことをもっと練習すればいいのではないか、と仮説を立ててみた。リタイアする寸前の歩きは、歩くことさえもままならない状態がつづく。普通にアベレージで歩き通すことさえできれば、平均速度でいえばUTMB®も完走は可能なはずなのだ。

 歩き続ける筋持久力の強化。中途半端にトレイルを走るよりも、今年はバックパックを大きく重くして、長時間歩き続ける練習を続けてみようと思う。

 先日トレーナーのN氏から最大心拍数はいくらかと聞かれて「190は超える。下も60は下がらない」と答えると「それってウルトラレースに向いてないってことですよね?」と指摘された。もちろんその身体的特徴は自覚していたので「たぶんフルマラソンからアイアンマンくらいがちょうどいいのかも」「でも好きなんだから仕方ない」と自嘲するしかなかった。子どもの頃から短距離から長距離までそこそこ走れた。野球部では塁間はいちばん速かったし、冬場の長距離走も先頭を引っ張った。子どもの頃からずっと走ることは得意で、30代半ばできっぱり走ることを止める時点までは、フルマラソンくらいの距離はまあまあ走れていたのだ(アイアンマントライアスロンのランのベストは3:35、フルマラソンのベストは2:50、六甲山全山縦走は5:15、サブスリーは32歳が最後)。
 でも、強いウルトラランナーたちからよく聞くのは「子どもの頃は走るのは遅かった(好きではなかった)」「大人になってから走り始めた」という言説。かくいう家人も「子どもの頃は脚が遅かった」のに、アイアンマントライアスロンではアマチュアトップだった。

 そんな数々の事実を思い知らされるにつれて、どうひいき目に見てもじぶんは超長距離は「向いていない」という現実を受け入れるしかないように思えてきた。でも、好きなんだから仕方ない。大人になってから向いていないことを好きになるのは、なかなか興味深い体験である。おかげで、若い頃には味わえなかった挫折や無力感を痛いほど味わえている。

 で、本日の新しい練習の最初のルートは、六甲全山縦走の西の端である塩屋をスタートして、ほぼ中間点の新神戸までの西六甲縦走。もちろん、ただ歩くのでは練習にならないので、新神戸で家人と合流して一泊することにして、バックパックには防寒着や食料やJetBoilなどの「必須装備」に加えて、必要以上の水や着替え、使うかどうかわからないMacBookなどで荷物を重くすることにした。約13kgくらいをPatagoniaの30リットルにパッキング。ふだん背負うのは重くても4kgくらいなので、結構重く感じる。最初の試みなのでこのくらいが適当だという重さだ。

 朝から快晴だが、寒波のせいで気温は下がっている。9時すぎに家を出ると、町は正月のように静まり返り、クルマの往来も少ない。寒さのあまりか。快速に乗って西へ。車内もガラガラ。須磨で普通に乗り換えて塩屋へは10時を少し回ったところで着いた。

 SUUNTO9をセットして歩き出す。住宅街から山へ入る最初の階段から息は上がらないがハムストリングス疲労が溜まる。須磨浦山上公園、旗振山、鉄拐山、横尾山、須磨アルプスを経て妙法寺までバックパックの重さは気になるものの脚は余裕がある。左の鼻からは、まだ頻繁に黄洟が出て、手鼻をかまなければならないことがやっかいだ。

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 妙法寺のローソンに立ち寄り、カップ麵、スニッカーズ、インスタントのミルクティとドリップバッグのコーヒーを購入。高取山にはいつもより1時間50分も遅く到着。高取神社を参拝してお花の合格祈願守りを買うと、ちょうど初午祭で甘酒のふるまいがあるという。せっかくなのでありがたくいただく。ショウガが利いていておいしかった。 高取山からの下りでちょうど時間もいいので、丸山町を見渡す最後の広場で持参した菓子パンを食べることにする。JetBoilで湯を沸かし、ローソンで買ったミルクティーを飲む。味は香港ミルクティーには及ばないが温かさが腹に染みる。

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 鵯越をすぎ菊水山に差し掛かる頃にはハイカーもすっかり少なくなる。菊水山頂上は、いつもの2時間遅れ。天王吊り橋の手前の池に、マガモのつがいが2組いた。本当に寒いときは凍っているが、今日はまったく凍っていない。

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 あとの上りは鍋蓋山だけ。ペースを維持してゆっくり上る。昨年から鍋蓋山界隈は間伐が始まり、トレイルは明るくなって、今までまったくなかった海側の眺望も開けるようになった。あと一年くらい手入れはされるようだ。少なくとも30年は手入れをされてこなかった森。以前とは比べものにならないほど歩くことが楽しくなる。大竜寺をすぎ市ヶ原まで、トレイルの案内標識も新しく付け替えられている。時刻は午後5時。新神戸までは小一時間で着く。どうやらヘッデンは使わずに済みそうだ。

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 布引貯水池はずいぶん水かさが減っていた。布引の滝(おんたき)は、水量がちょうど布を引くような流れをつくる量で、夏のごうごうと落ちる滝よりも品がある。

 

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 塩屋から7時間23分、25km。明るいうちに新神戸駅に着いた。ウルトラトレイルのための初めての歩荷練習は、よい手応えを感じて終えることができた。この練習、しばらく続けようと思う。それにしても左鼻からは、まだ黄洟が出る。やれやれ。

 

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