RUN for UTMB®︎あるいは僕の、走ることについて語るときに僕の語ること。

2018年UTMB®リタイアからはじまる50代トレイルランナーの挑戦記。

1月21日(月)リタイア後から打ち上げ

 リタイアした選手十数名を乗せた古くてうるさく、ガタガタとよく跳ねるマイクロバスが猛スピードで山を下る。

 こんなときによく起きるのが車内でのリバース。案の定一人が始めた。もちろん運転手はお構いなしだ。リタイア後にさらにこうなるのは、本当に心が折れるだろう。毎回気の毒に思う。幸い僕は車酔いはまったくしないので、どれだけ疲労困憊してもこの惨事だけは避けられるのだ。

 30分ほどで町のバスターミナルに着き、全員が降ろされた。しかし、選手たちの多くがフィニッシュ地点に荷物を取りに行かねばならず、ここからその交通手段がわからない。時刻は6時前。皆が途方に暮れていて、僕もここがどこかもわからない。ツアーのK氏にリタイアしたと電話を入れて、帰る手段を尋ねる。しかし前例もないため、とにかく「ツェーンワン」まで行けばよいとだけ告げられる。でも、そこまではどう行けばいいのだ?

 僕は大会HPで「Tsuen Wan」を確認して、Google mapsでここからの経路を求めた。すると地下鉄を乗り継いで1時間ほどということがわかった。現金もクレジットカードもオクトパスカードもあるので、そうとわかれば安心だ。汚れたレースウエアのまま「彩虹」という駅から地下鉄に乗って「太子(Prince Edward)」で乗り換えてTsuen Wanに着いた。そこは終点の駅だった。大会シャトルバスを探したが分からず、結局タクシーに乗ってフィニッシュ地点へ。20ドルくらい。山腹にあるのどかな公園に控えめなフィニッシュゲートが作られていた。

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 フィニッシュした選手たちに紛れてドロップバッグを受け取り、シャトルバスで駅まで戻る。再び地下鉄を乗り継ぐのはしんどいのでタクシーでホテルまで帰る。香港の的士(タクシー)は町のシンボル的存在で、運転手たちもどこかユニークなキャラが多い。そして、たいていがスピード好きである。内装も破れたり古びているが、古いモデルのクラウンがなんともいい。日本の最新型のクラウンよりもずっと車として乗っていて楽しい。

 部屋に帰るとお花は起きていた。礼を言って、とにかくシャワーで汚れを落とし、暖をとる。筋肉痛が大腿四頭筋にあるが、特別傷めた部分はない。残りもののメロンを食べてベッドで休む。心の底からホッとできる瞬間だ。

 昼過ぎに起きる。食欲は無いが、お土産を買いにスーパーに出かけた。せめて何か食べようとりんごを求めた。午後もお花は部屋にいるというので、夕方からの打ち上げパーティまで僕も部屋で休む。

 夜は近くの中華レストランでツアーの皆さんと打ち上げ。互いの健闘を讃え合う。たまたま同じテーブルについた人たちが50代が多く、話が弾む。お花はレース中K氏とともにサポートをしていたため、なんと、ツアー会社のスタッフだと思われていたようだ。そんなに歳上に見えるのだと驚く。

 食事後は「TofuBacks」で「豆腐花」を初。杏仁豆腐かと思ったがそうではない。なめらかな豆腐にさまざまなシロップをかけて食べる。いまは冬なので豆腐は温かい。僕はココナッツミルク味、お花は小豆味を食べる。どちらもクセになる味。美味しい。日本で食べられるところはないのかな。(写真だとなんだかわからないな)

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 宿に帰り荷物を整えて就寝。明日はツアーの皆さんは帰国日。僕らはもう一日観光で滞在する。今回家族が帯同していたのは僕らだけだった。ほんとにレースにだけ出る日程って、もったいないなあと思うけど皆さんいろいろ事情があるんでしょうね。日本人は働き過ぎだ。